こんにちは
シュウです。
YouTubeなどには、○○永住のデメリット5選!みたいな感じで、海外へ永住する際のデメリットをタイトルにあげたコンテンツが沢山ありますよね。
見たことはないので、どんな内容なのかは分からないですけど、それぞれの国へ永住を考えている人たちは興味を引くタイトルだろうな、と思います。
僕自身は、長年ニュージーランドに住んで、全てが良いことばかりというわけではないですが、特にデメリットを感じたことはないんですよ、実は。。。
ゴメンナサイ。。。
タイトルに偽りありでした。
不便なことがあったとしても、それはそれ。それも含めてニュージーランドですから。
当然のことですが、日本とニュージーランドでは全く違う仕組みのものが沢山あります。どっちが良いとか悪いとかではなく、日本にいたら当たり前だと思っていたことがニュージーランドでは全く違うことが当たり前だった、ということを書いてみようかと思います。
違うことは色々ありますが、これから永住を考えようという方が知りたいであろうことの一つに、ニュージーランドの教育制度があると思います。
家族で永住する場合、どうしても必要な分野ですもんね。
あと、既にお住いの方でも、お子さんがまだ未就学年齢だと分からないこともあるかと思います。
そういう方々に、何らかの参考にしていただければ幸いです。
これがまた日本とは全く違う仕組みなので、僕が知る限り、調べた限りを書いてみようと思います。
教育制度について
出来る限り正確な情報をお伝えすることを心がけておりますが、ところどころ僕の個人的な見解が含まれていたり、我が子たちとその周辺の子たち、お世話になった学校からの経験での話(つまりはだいぶ田舎町の小規模な学校での出来事)も多数含まれておりますので、ニュージーランドの全ての学校がこうであるというわけではないことはご了承ください。
小学校
ややこしい入学時期
日本では7歳になる年の4月から小学生ですが、ニュージーランドの小学校(Primary School)は5歳になる誕生日周辺から入学可能です。
可能と書いたのは、入学可能時期に幅があるんですよ。
は?って感じでしょ?(笑)
こちらのPrimaryは5歳になる日前後からから6歳になる誕生日までに入学すればいいことになってるんですよ。まぁ、大抵の子は5歳になってすぐに入学しますね。
で、こういうシステムなので入学式というものはありません。5歳の子供たちが年間を通してばらばらと小学生になっていきます。
そんな仕組みだと、1月の子と12月の子じゃ差が出ちゃう!と思ったあなた!
いいところに気が付きました。
そうなんですよね。
1月入学と12月入学が同じ学年で良いわけありません。
どういう仕組みでこのデコボコを調整するかというと、基本的な学年は1年生(Year1)から6年生(Year6)まで(年齢で言うと6歳から11歳まで)なんですが、このYear1の前にYear0というのが存在するんですよ。
ニュージーランドの学年度は1月から12月なので、1月入学の子はフルでその学年を出来るのでYear1からスタートしますが、5~6月ぐらいからの子はYear0からスタートし、翌年Year1になります。この区切りは学校によっても違うので、一概には言えませんが、ウチの子が通ったPrimaryはこんな感じの区切りでした。
このYear0を使うことで、大体の子が押しなべて同じ学年になるというわけです。
まぁ、それでも日本みたいな早生まれ的な生まれ月の差は出ちゃいますね。
ウチの次男坊は5月生まれなんですが、仲良しの友達は4月生まれ。これ、ただの1カ月違いじゃなくて、11カ月違いなんです。
次男の方は5月入学でYear0から始め、翌年にYear1になった年の4月に同じYear1に4月生まれの友達が入学してきた、といった感じです。
ほぼ1個下ですよね、これ。(笑)
あと、さらに細かい話をすると、1月から新年度と書きましたが、厳密には1月からではありません。
もういったい何を言ってるの?という感じですよね。(笑)
南半球にあるニュージーランド、12月1月は当然夏です。なので、クリスマス前から1月いっぱいは夏休みなんですよ。
なので、1月から新年度ではあるものの、実際に学校が始まるのは2月から、というわけなんです。
なので、12月の後半と1月生まれの子は、2月に入学できるということになります。
学校選び
てか、その前に学校選びからしないといけません。
基本的には、日本と同じ学区制なので、最寄りのPrimaryを選べばいいのですが、日本と違うのは、同じ学区に複数の学校がある、ということです。
そうではない地域もありますが、結構な地域で、学区が重複する感じで複数の学校の選択肢があります。
その場合は、まず学校見学に行きましょう。
5歳から入学ですから、あまりギリギリだと定員オーバーで入りたい学校に入れない可能性もありますので、見学に行くのはお子さんが4歳になったころとかの早目が良いと思います。
事前に学校に見学したい旨を伝え、日取りを決めます。当日は、入学する子供と一緒に学校の雰囲気や児童たちの雰囲気、先生たちの人当たりなどを確認しましょう。
僕らは、それに加え、校舎や校庭の配置も重要な決め手になりました。
実際に見学行くのが一番大事なのは言うまでもありませんが、政府の外部機関である「教育審査局(Education Review Office:ERO)」が各学校のレポートを出しているので、それも併せて参考すると良いでしょう。
また、ニュージーランドでは個人的な理由(校風が合わない、いじめにあう等)で同じ学区内でも転校することは普通にありますので、一度決めたら卒業まで通わないといけないということはありません。
ウチの子が通った学校にも、町の反対側の学校から何人も転校して来てました。
義務教育は6歳から16歳まで
ニュージーランドで義務教育と定められているのは、6歳から16歳までです。
この間、学校に通わせるか、ホームスクーリングで子供に勉強を教えるかをしなければなりません。
ホームスクーリング
これは学校に通わずに自宅で勉強をする制度のことです。
人口密度の低いニュージーランド。田舎の方は、学校がある町まで遠いという環境などはよくある状態です。そういう子が毎日学校に通うというのはあまり現実的ではなかったり、また、何らかの理由で学校に通えない・通わせたくないという場合はホームスクーリングが認められています。
その為には、まず文部科学省の地域事務所へホームスクーリングをする旨、つまりは町の学校には通わないという旨の申請を出します。義務教育期間中は学校に通わないといけない決まりなので、それを免除してもらうためです。
申請は無料で、結果が出るまでに4~6週間かかるようですので、ホームスクーリングをする場合は、お子さんが6歳になる前に早めに申請しましょう。
ホームスクーリングの申請手順等はこちら
ホームスクーリングでもなんとなく家で勉強すればいいということではなく、一応、文部科学省のサイトにあるカリキュラム沿った勉強をすることが推奨されています。
教科書がない!!
さて、話を通常の学校に戻しましょう。
Primaryでの授業は日本と同様、クラス担任の先生が全ての教科を教えてくれます。が、基本的に教科書がありません。
教科書がないので、教科書の忘れ物というのも存在しません。(笑)
子供たちがバッグに入れているものは、ランチボックスと水筒ぐらいなもんです。
そして、教室での席も決まっていません。
驚きですよね。日本だと、ちゃんと席に着き、授業中は席から離れない、という規律から学ぶというのに。
低学年の頃は机や席は教室にはあるものの殆ど使わず、教室の床(絨毯)に座り、歌ったり皆で遊んだりしながら言葉や数字を覚えていきます。
学年が上がるにつれ、日本の小学校のような勉強に移っていきますが、詰込み型の勉強方針ではないので、日本に比べるとだいぶ緩く感じるかもしれません。
僕が感じた日本とニュージーランドとの違いは、
日本は個々人の能力を伸ばすというよりは全体を目標水準まで引き上げる教育で、
ニュージーランドは全体はさておき、個々人それぞれの能力を伸ばす教育なのかな、と思います。勉強苦手な子は苦手なりに、出来る子はもっと上を、という感じです。
もちろん、ちゃんと国が定める学習要綱はありますよ。先生方はそれに沿って、各々のアプローチ方法で生徒たちを指導してくれます。
飛び級もあり
クラスは日本と同様、学年ごとに分けられているのですが、周りよりも抜きんでている場合、一部の授業だけ上のクラスに混ぜてもらうことや飛び級することもあります。これは学校によっても違うので、全ての学校でこの制度があるわけではないかと。多分ですけど、都会の学校ではほぼない慣習な気がします。田舎の人数が少ない学校ならではの慣習かもしれません。
中学校
Primaryが終わると次は2年間(Year7、8)の中学校(Intermediate)になります。年齢で言うと12~13歳です。
ここでも特に教科書はありませんが、先生がレジュメなどを使用して授業を行います。ウチの子たちが通ったところはPrimaryとIntermediateが一緒になったところだったので、8年間同じ制服で同じ学校に通いました。田舎の方ではこれは普通なのですが、都会だとPrimaryとIntermediateは別なのが普通の様です。
そしてこれも田舎ならではだったせいか、授業内容もだいぶ都会のそれとは違ったようで、都会の高校に進んだウチの子たちは、周りの皆が当たり前にIntermediateで習ってきていることを自分たちは習っていなかった、とちょっと戸惑ってました。
とは言っても、そこまで大きな差があったわけではなく、高校入学後に直ぐに追いついたようです。
高校
Intermediateが終わると次は高校(High SchoolまたはSecondary School)で、これはYear9から13まで、14歳から18歳までの5年間です。
Junior
最初の2年(Year9,10)はJuniorと呼ばれ、Intermediateの延長みたいな感じでちょっと緩い雰囲気です。とは言っても教科書もありますし、学校によってはGradingと言って成績順にクラス分けを行い、そのクラスの学力によって履修する内容が異なるなど、もうしっかり勉強のフェーズだったりもします。
ウチの子たちが通った高校は、入学前にクラス分けのテストがあり、出来る順に1から10までのクラスに分けられて、上位二つのクラスは一学年上の勉強をしていました。所謂、飛び級状態ですね。
このJuniorの期間は前述の通りまだちょっと緩い感じの雰囲気で、例えばスポーツで言えば、試合に出る経験が上達の一歩であるというスタンスで、レベル分けされたチームではありましたが、その中でも上手い子も下手な子も全ての子に出場機会がありました。
Senior
Juniorの2年が終わると、Seniorと呼ばれるYear11から13までの3年間が始まり、いよいよ本格的な高校生になります。
Seniorになると、Examと呼ばれる全国共通実力テスト(?)が毎年の学年末にあり、これによってその学年で取るべき単位の可否が決まります。
また選択科目も増え、高校卒業後の進路を見越して自分の興味があるものなどを選び履修します。日本の受験用の数種の選択科目とは違い、大学での勉強または卒業後の就職に役立つであろう数十種類の選択科目という感じです。
大学進学を希望する場合は、このExamでどの科目の単位をどれだけとれているかによって希望する大学に入れるかどうかが決まりますので、Examはかなり重要になります。
ただ単位を取り損ねても、取り直すチャンスもあるようなので、日本のような一発試験での大学入学の合否よりかは気持ちは楽かもしれません。
でもどうでしょうね。
こちらのシステムだと3年間みっちり頑張る必要があるといえばありますから、一概にどっちのシステムが良いとか悪いとかは言えないですね。
そして、Seniorになって厳しくなるのは勉強だけではありません。
Juniorの時は全員参加のスポーツだったのに、Seniorになった途端、めちゃくちゃシビアになります。
ウチの次男はサッカーをやっていたのでサッカーについて説明すると、学校でのサッカーは技術レベルで各20名ほどの7~8チームほどに分けられていて、一軍チームはFirst Elevenと呼ばれる花形軍団。学校からの扱われ方が全然違います。First Elevenメンバー専用のジャージやバッグがあったり、他校との試合の度にスタメンが顔写真付きで学校のFacebook上に発表されたりしていました。
もちろん、ニュージーランドで一番人気のスポーツであるラグビーの一軍はFirst Fifteenと呼ばれ、学校のどのスポーツよりも上位の超絶花形的存在です。高校レベルでも、学校対抗試合がSky TVで放送されたり、ラジオのニュースになったりもします。
Seniorになって何が厳しいって、Juniorの頃は控えの選手でも試合では必ず出場機会があったのに、Seniorになると控えの選手の出場機会は殆どないことです。控えの中でも上手い方だったり期待されている方だと、後半の後半に少しだけ出番が回ってくることもありますが、ほとんどの控え選手はベンチウォーマーになってしまいます。
折角頑張ってFirst Elevenに入れても、控えの選手になるとほぼ出番がないのは辛いだろうなと思います。一軍に入れても試合経験にはつながらない、こんなことならSecond Elevenのスタメンに選ばれた方が経験を積めてその子の上達にもなるだろうにと。
控えではあるけど一軍に相応しいと選ばれているわけだから、それはそれで自信を持てばいいのかもしれないけど、試合会場に行きユニフォームを着て、チームメイトのプレイを見るだけだなんて、めちゃくちゃ悔しいだろうなと思ってました。
まぁ、Seniorのスポーツに関しては日本の部活も同じですね。
ちょっと学校のシステムの話からはそれちゃいました。
高校卒業資格
日本と違うのは、高校の卒業と高校卒業資格の2種類があることです。
高校の卒業がYear13(18歳になる年)を終えた時なのは日本と同じですが、ニュージーランドでの高校卒業資格を得ることが出来るのは実はYear12が終わった時なんです。義務教育が16歳までですからね。つまりは17歳になる年であるYear12まででOKということなんでしょう。
なので、大学には行かず就職するとか、高校卒業資格さえもらえればそれで良い、というような子は一年早めにYear12で学校をやめるケースも多々あります。もちろん、Year13まで終わらせてから就職する子も普通にいます。
卒業よりも1年早く卒業資格が貰えるとは言っても、大学に進むならYear13までちゃんと行って、Examで単位を取る必要がありますので、卒業資格があるとは言っても早めに卒業して大学に進むことは出来ません。
いや、出来ます。
って、どっちやねん!と。(笑)
前述のウチの子たちが通っていた高校の場合で言うと、成績順の上位ニクラスは1年先の勉強をしているので、Year12が終わった時点で通常のYear13の勉強を完了しているため、大学に進むための単位も取り終わっているのです。そのため、そのクラスの子たちは本人が希望すればYear12で高校を終わり大学に進むことも可能、というわけです。
あまりそんな子はいないようでしたけど。
じゃぁ、そういう子はYear13では何をするのか?と思いますよね。
そういう子たちは、実は、高校に居ながらにして大学の勉強をすることが出来るんです。
高校に在籍しながら大学の勉強
この場合は、オンライン授業を行っている大学の科目(Uni Paper)を履修することになります。そして良い制度だなと思ったのは、どの大学の授業でも良いということです。
卒業後に自分が進もうと思っている大学の科目だけ履修できる、ということではなく、ニュージーランドの大学であれば、どこの大学でも自由に自分の好みで選ぶことが出来るのです。しかも複数。この大学のコレ、とあの大学のコレ、みたいな感じでもOK。
そして、この方法で取った単位は大学に進んだ際に取得単位として認められるという嬉しい仕組みとなっています。素晴らしいですね。自ら勉強をしようという人にはとても良い環境だと思います。
Uni Paperの費用については、各大学で異なるようなので、実際に履修するときになって調べると良いでしょう。
ギャップイヤー
これは高校卒業後にすぐに大学進学はせずに、例えばワーホリで海外に行ったり、期間限定で働いてお金を貯めて旅行に行ったりして人生経験を積むとか、大学に行く気はあるけど何を学びたいかわからないからしばらく様子を見る、とかみたいな感じで、高校卒業後に大学入学までに期間を取る慣習のことです。
これは日本にはない考え方ですよね。何歳になっても、学びたいと思ったら大学に入るのが普通なニュージーランドならではなのかなと思います。
大学
大学入学について
さて、大学進学をする場合は、何を専攻するかによって大学の選択肢が決まってきます。
日本では公立・私立と全国に無数の大学がありますが、ニュージーランドには基本的に選択肢は国立大学になります。
その国立大学は全国で8つ。
各主要都市にある感じで、北から
・オークランド
Auckland University of Technology (AUT)
・ハミルトン
・パーマストンノース
・ウェリントン
Victoria University of Wellington
・クライストチャーチ
・ダニーデン
それぞれに強みの学部があったり、そこしかないものがあったりするので、どこでも好きなところに行けば良いというわけではありません。
高校のExamでしっかり良い成績を修めておけば、基本的にはその限られた選択肢から自由に学部を選べるでしょう。ただ、このExamでの取得単位が入学に影響するのは20歳未満の子たちだけで、20歳以上のニュージーランド人は、高校での取得単位に関係なく大学に入学できます。
高校卒業後または大学卒業後に就職して、何年か経ってから、別のことが学びたくなったからという理由で大学に入る人もそれなりにいるので、大学生は主には若い子ですが、そうでない年齢の方も普通にいます。
日本だと、いても2浪3浪までの20歳かそこらでしょうから、30代や40代の大学生がいるとだいぶ違和感がありますよね。
進級も簡単ではない
入学後のことで日本と大きく違うのは、学部によっては入ったは良いものの1年生の成績次第で進級出来ない仕組みになっている、ということです。
日本でも単位を取り損なえば進級できないということもありえますが、そんな生易しいものではありません。2年生に成れる枠が実質的に制限されているので、進もうにも進めないわけです。
例えばMassey Uniの獣医学部、入学自体は希望すれば誰でも入れますが、最初の一年間で度々実施されるテストや提出物の成績で選抜が行われ、晴れて2年生に成れるのは約半分程度だそうです。
またAuckland Uniの法学部は、1年生は1500名ほどですが、2年生に進級出来るのはたった330名です。
例に挙げたのは二つだけですが、他の学部でもこういう感じで2年生に成れないケースが普通にあります。
このように進級できなかった学生は学校を辞めるか、または専攻を替えるかですが、替えた専攻によっては一からやり直しになるので、卒業が1年遅くなる可能性もあります。(学部によってはもう1年一年生をやってセカンドチャレンジできるケースもある様です。)
めちゃくちゃ厳しいですよね。よっぽど下手しなければ普通に進級して卒業できる日本の大学(特に文系学部)とは大違いです。
ニュージーランドの大学生、兎に角ずっと勉強しています。。。
以上、今回は教育制度の、日本とニュージーランドの違いについてのお話でした。
次回は医療制度について書いてみたいと思います。お楽しみに!?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。